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病院の中は薄暗く、そして静かだった。ホールに差し込む陽の光は幻想的で、非日常の空間を想起させる。先に入ってしまったヴァリエを探すため、あちこちを探し回ろうとしているところに、ちょうどヴァリエがやってきた。ヴァリエからしてみれば、出入り口に戻ってきたということである。
戻ってきた二人に対して、ヴァリエは不思議そうに見つめる。

ヴァリエ:「あ、あら、沖田さんたちっ‥…。一体どうなされたのでしょうっ?」
沖田 総介:「説明している時間はないんだ。今は黙って俺についてきてくれないか・・・。」
ヴァリエ:「え、は、はい了解しましたけどっ」
ローウェン:「……産婦人科に向かってください。産婦人科の、資料室へ。理由は後ほど説明いたしますので、今は私の指示通りに動いてください」
沖田 総介:「産婦人科に向かえ、との事だ。行こう。」
ヴァリエ:「産婦人科……? そこにお母さんとお父さんがいるんですかっ?!」
期待の眼差してヴァリエは沖田を見つめた。
沖田 総介:「すまない。俺は両親の居場所はわからないんだ。とにかく産婦人科の資料室へ。そこに行けば色々とわかるだろ。」
ヴァリエ:「りょ、了解しましたっ。とりあえず私は、お二人について行かさせてもらいますね」
ミリィ:「ひとまず安心したよ」
産婦人科は、その場所から徒歩2分程度の場所にすぐあった。その中の資料室とかかれた部屋の中に入り、ローウェンの指示を待つことになる。
産婦人科の資料室は丁寧に整えられおり、探し物をするには困らない一室であった。その資料は、丁寧な配置になっている大きなキャビネット軍団の中や、壁の端から端まで並んでいる棚の中にファイリングしてあった。
そこで、ローウェンからの指示が入る。

ローウェン:「着きましたね。ではその中から、今から14年前に誕生なさった全ての赤ん坊の記録が載せられたファイルを探してみてください」
ミリィ:「ファイルと言ってもなあ、いっぱいありすぎて探すのに時間がかかりそうだよ。」
資料はなかなか膨大で、探すのには手間取る。ヴァリエの様子を見てみると、資料を探しているというよりも親を探しているという風に見えた。

篠宮は上官にいわれた通り、ヴァリエの家のすぐそばまできていた。戦場みたいにそこは荒れており、家も何軒か壊れている。
そこに、ドミネーターのマニラ=レイモンドと思われる女性が倒れていた。

篠宮 和人:「この人がマニラだね。……あの剣士と銃士、よく倒せたもんだよ」
ルーフェン・ソラ:「見るからに凶悪そうですよ……。確か、まだ気絶の段階で、死んではいないのですよね。それじゃあ、早く運び出しましょうよ……」
ルーフェンの言葉で、篠宮はマニラの手と足を縄でしばり、さすがに担ぐ訳にはいかなかったため、持ってきた、オリジナルの運送用ロボの上にのせた。
篠宮 和人:「これで後はマニラをアレクさんに返せば任務は終了だ。……ふぅ」
ハウンド・サランダー:「そういえば、このドミネーターをやっつけやがった勇敢な兵士二人はどこにいったんだ?
篠宮 和人:「確か、ここらの病院に行ってるんじゃなかったか。なんだか用があるらしく。休日出勤、さらに残業って。うちもブラックの仲間入りかな」
ルーフェン・ソラ:「……元々じゃないですかね」
ハウンド・サランダー:「それもそうだな。そんじゃ、急いで帰って電ロワの続きしようぜ!!」
篠宮 和人:「まったく、君にはそれしかないのかい……」
3人は来た道を意気揚々に引き返していった。誰もが安堵の顔を浮かべて、今回の任務達成を悦びあい、まだその余韻は続いている。
そのため、マニラの目がうっすらと開いたことに、3人は気づかないままであった。


ミリィは膨大な数の資料の中、"歴●●年代記録" と表紙に書かれたファイルを見つけた。その表紙を見る限り、確実に14年前の記録のようであった。
ミリィ:「14年前の記録、こんな書類を見つけたけど・・・」

ローウェン:「ございましたか。それでは、中身を確認してください」
ヴァリエの記録のページまで映る。様々な情報が書かれている。ヴァリエ:「こ、これ……私が生まれた年の記録・・・。なるほど、私が生まれた時の記録をお探しでいらっしゃったのですねっ。でも、どうしてでしょう……?」
ローウェン:「どうですか?」
二人は真っ先に親の欄に書かれている名前を見た。そこには「ヴァネッサ=ライヤ」と書かれていた。
ミリィ:「ヴァネッサ=ライヤ、これは母親の名前ですね。」
ローウェン:「……ほう。それでしたら、そのヴァネッサとついた名前の字体に違和感を感じないか、よく確認してください」
ミリィ:「違和感があります。」
ローウェン:「それでも何もないならば、今回の予感は外れたということなのですが━━━」
ローウェン:「む……。違和感、と申しますと?」
ミリィ:「よく見ると、周りと比べて字体や濃さに違いがあります。」
そのやりとりをみて、ヴァリエが心配そうに話しかける
ヴァリエ:「あ、あの……。私の生まれに、何か問題でもあったのでしょうか?」
ミリィ:「・・・聞きたいなら、覚悟を決めてほしい。」
ヴァリエ:「わ、私に関わることならなんでも聞きますっ! 教えてください、気になっちゃいますよ……」
ミリィ:「・・・やっぱり僕も怖い。でも話さなくちゃならないんだ。」
ミリィはそう自分に言い聞かせる。
ミリィ:「・・・でも、これだけは頭に入れておいて。この先は、聞いたら君は壊れてしまうかもしれない。もう二度と、今のようには戻れないことを。でも安心して、僕はヴァリエちゃんを守るって決めたから。」

ヴァリエ:「……」
ミリィ:「ヴァリエちゃんの親についてなんだけど。」
ミリィ:「君の親はヴァネッサ=ライヤじゃないかもしれない。それを今、確かめるんだ。」

思い当たる節がある、という風にそう言う。
ヴァリエ:「わ、私の親が、違うかもしれないって……。え……? そ、それは、本当のこと……じゃないですよね?」
ヴァリエは信じられない、という顔つきでミリィを見返した。一歩、ミリィから下がった。
ミリィ:「分からない。僕も怖い。でもそれは知らなきゃいけないんだ、君のためにも。だから覚悟して、どんな結末が待っていても自分を失わないようにして。」
ミリィ:「それに僕達がいるから。」

ヴァリエ:「あ、あの……。もしかしたら、その、私の能力が役にたつかもしれないです。私は、変化があったものを、その元の姿にちょっとだけ復元できる能力を持っていましてですね……。えっとですから、その能力を使えば……」
ヴァリエの声は落ちていって、最後にはもう聞こえなくなってしまっていた。
ヴァリエ:「で、でもありえないことです! 私のお母さんやお父さんが偽物だなんて、私は絶対、信じられませんから……」
ミリィ:「・・・、じゃあヴァリエ、君がその紙を見るんだ。君は知らなきゃいけない、真実を。」
沖田 総介:「現実から目を背けちゃいけない。きちんと受け入れるんだ。俺はヴァリエ、お前の傍にずっと居てやる。俺が元気づけてやる。」
沖田 総介:「例えどんなに残酷な現実が待っていようと、きちんと向き合わなくちゃいけない。」

ヴァリエ:「沖田さん……。だ、大丈夫ですよっ、私は大丈夫です。そ、それにまだ決まった訳じゃないですから! 大丈夫です……。それじゃあ、行きます、その紙、私にください」
震える手をミリィに差し出す。

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ミリィ:「本当に大丈夫かな・・・」
沖田 総介:「少し心配でもある・・・。けど、まぁ大丈夫だろ!」
二人は心配そうに病院を見つめたが、総介は彼女を信じることを決意した。そして、晴れ渡った病院を見つめ、今回の任務が終わる達成感を感じていた。
ミリィ:「そうだね、ふふふっ」
ローウェン:「帰る前に、しばしお待ちください」
そこで、突然ローウェンが二人を引き止めた。
ミリィ:「はい、・・・?」
ローウェン:「……納得がゆかんのです」
沖田 総介:「何に、だ?」
ローウェン:「二人とも聞いてください。私は疑問に思うことがあるのです。あなた方はヴァリエさんを助けに家に向かう時、その親に会いましたね。その親は、恐ろしきマニラが向かっている、とあなた方に仰っておいででした」
ローウェン:「どこで疑問に思ったか、もうお分かりですね」
二人は、その言葉を聞いてアっと息を呑んだ。
"なぜ一般市民が、ドミネーターの、マニラの名前を知っているんだ?"

沖田 総介:「あぁ、そうだったな。」
ミリィ:「ドミネーターの、マニラ普通は知ってるはずなかったんだ・・・僕達、まんまと簡単な事に引っかかっちゃったって事か。」
ローウェン:「はい。マニラの名前を知っているのは、グレイプニルいる者やYDFに努めている者のみです。そして彼らは親二人軍隊に勤めている訳でもなく、調べてみたところによりますと、お二人とも無職なのです」
ローウェン:「そして、あなた方の拾った手紙……。その中に書かれている言葉は、一体何を意味しているのでしょうか」
沖田 総介:「あのドミネーターはヴァリエの名前を知っていた。そして、真っ直ぐヴァリエの家に向かった。」
ローウェン:「……あと思い出すことといえば、ヴァリエさんの家だけが、数ある住宅の中の一つだけ被害にあっていたのも、また不思議な話です。……私は、非常に泥沼のような、黒い予感を感じるのです。このまま、ヴァリエさんを一人にするのは、私としてはどうしても避けたいと思っているのですが」
沖田 総介:「ヴァリエを殺すなんてできない。とも言っていた・・・。あのドミネーターが、だ。」
ミリィ:「・・・。」
ミリィ:「総介、行こう。」
ミリィ:「まだ僕達の任務は終わっちゃいなかった。」

沖田 総介:「あぁ。」
ローウェン:「……無理をしない程度に、お願いします」
沖田 総介:「了解した。」
ミリィ:「とりあえずさっきの病院に行こう。まだいるかもしれない」

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ヴァリエ:「ぐ、ぁっ! や、やめて……。 お願い、します……。」
マニラはヴァリエと向かいあい、一瞬動きが止まった。そして次の瞬間、1階から銃の乱射音が聞こえたと思うと、一気に家が揺れた。
その時、マニラはバランスを取るために総介とヴァリエを掴んでいた両手を離してしまった。
そのチャンスを総介が逃す訳にはいかなかった。
総介は一瞬の隙をついて、剣の鞘をマニラの脇腹に当て、壁に弾き飛ばす。
ヴァリエは頭を抑えて床でうずくまっている。

マニラ=レイモンド:「……ッ」
沖田 総介:「だ、大丈夫か!?」
ヴァリエ:「うぅ、頭が……頭が痛いです……」
沖田 総介:「わ、悪い・・・。俺が不甲斐ないばかりに・・・。」
ヴァリエ:「私こそっ……。ちゃんと逃げてれば、沖田さんに迷惑をかけることはなかったのに……。すみませんっ!」
沖田 総介:「いいんだ。気にしないでくれ。大丈夫だから・・・。」
マニラ=レイモンド:「うがぁぁぁアアア!! こっちにきてくれヴァリエぇええ!」
マニラは立ち上がろうと脇腹を抑えながら体制を整え、顔を総介に向けて睨む。
ヴァリエ:「に、逃げましょう沖田さん……!」
沖田 総介:「その方が良さそうだな。」
総介は近づいてくるマニラを傍目に、ヴァリエを両手でお姫様だっこのように抱えながら、華麗に窓から飛び降りる。そしてヴァリエを下ろす。
窓ガラスが割れる音が聞こえて、それに続いてミリィも家から出てきて合流した。

ミリィ:「! ・・・わお、総介クールだね!」
沖田 総介:「ふっ・・・。なんてな!一時はどうなる事かと思ったがな。アリスが銃ぶっぱなしてくれたおかげで助かったぜ・・・。」
ミリィ:「やっぱり分かっちゃったか。・・・なんてね、水道管壊しちゃったけど多分全壊は防げたよ。」
そうしてお互いの無事を確認し、ヴァリエが何度もお礼を言っているのも束の間、すぐに二階の窓からマニラも飛び出してくる。
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ヴァリエは怯えて、近い総介の後ろに隠れた。背の小さい彼女は、総介の背中に丸くおさまる。

マニラ=レイモンド:「逃がさねェよ……。私は復讐にきたんだよ。私が満足するまで、誰ひとりとして邪魔はさせねェよォオ!!」
ミリィ:「・・・!総介、この人は誰?」
沖田 総介:「俺にもわからん。恐らくドミネーターの勢力だとは思うが。」
マニラ=レイモンド:「そのとおぉぉぉぉり!! 私はドミネーター幹部、マニラ=レイモンドだよォ」
ミリィ:「また相当な悪趣味なのが来たね。」
沖田 総介:「ほー。んじゃ遠慮なくぶっ殺して良いってこったな?お前は俺を怒らせすぎた。」
戦闘態勢を整えた総介を、制止するように先ほどまでと比べると穏やかになった顔を二人に向ける。
だが、その手は怒りに震えていた。

マニラ=レイモンド:「なあ、お前らは愛人を失ったことはあるかァ? そして、年取っても忘れらんねェくらい傷ついてしょうがねえ心を持ったことはあるかァア?」
沖田 総介:「愛人って程じゃないが、一番仲の良かった親友・・・。ドミネーターが作った実験施設で作られたクリーチャーが暴れまわって殺されたよ・・・。」
沖田 総介:「てめぇらドミネーターのせいでなぁ!!!」

マニラ=レイモンド:「くっくくくッ……! あめェんだよ若造。ああ、甘いね甘すぎるねェ! いいぜェどっちの方が怒りに燃えてるか決めようじゃねェかよォ。今ここで、正々堂々となぁぁア!!」
マニラ=レイモンド:「避けんじゃねェぞ小娘ェ!」
ミリィ:「!!」
マニラ=レイモンド:「ほォ。さすが、グレイプニルの犬ときたモンは、ばかにできねェなあ」
ミリィ:「その手の動かし方は分かりやすいよ。・・・でもその光線は反則でしょ・・・。」
余裕を装うとするが相手のスピードに恐れる。
ミリィは咄嗟に能力を使い、手を上げる意識を制止させた。

マニラ=レイモンド:「あァ‥…? なんだこりゃ」
ミリィ:「・・・本当の心、見させてもらうよ。」
ミリィの能力によりマニラの中にある意識を増やし、混乱をもたらさせる。
マニラ=レイモンド:「や、やめろ! てめェ、私に何しやがったッ! く、そ……くそったれが!!」
マニラは突然地面に伏せる。顔は苦渋の表情に歪み、二人を見る目からは、何度か涙が滴るのが見えた。
ミリィ:「悪いけど、君には色々と忘れている事があると思うよ。思い出してほしい。」
それは一瞬のこと。マニラは再び二人のほうを向くと、まるで牙をむいた虎のような威圧を出しながら睨みつけた。
マニラ=レイモンド:「うあァァァアアアア!! ぶ ち 殺 す ! ! ! 」
マニラは自身の雷の拳がミリィの体に直撃するが、ミリィはまったくダメ―ジを食らわなかった。
マニラ=レイモンド:「何ッ…‥?!」
ミリィ:「マニラ、君の悲しみを人に向けるのはただの甘えだよ。ヴァリエちゃんに向けて良いものじゃない。」
マニラ=レイモンド:「うるせェエエエエ!! 私のことを何もしらねェくせに、綺麗事言ってんじゃねェよォォオオオオ!!」
沖田 総介:「過去に大切な人を失ったから復讐だ復讐だ。って言って他人の大切な人を奪っていい道理にはならねぇだろ。」
沖田 総介:「今のお前は所詮ただのテロリストだ。」
ヴァリエ:(沖田さん……)
沖田 総介:「だが、その気持ちはわからなくもないんだ・・・。親友に上司。俺の身近な人が殺されて、復讐したいという気持ちが無くはない。」
沖田 総介:「俺もそこまで鬼じゃねぇ。殺す事まではしねぇよ。だから、どうか頼む。復讐は虚しいだけだ。不毛な争いはやめてくれ。」
沖田 総介:「こんな事敵である俺に・・・。ましてやグレイプニル所属の人間に言われた所で、って話なんだけどな・・・。」
沖田 総介:「この一撃に・・・全てを賭ける!!いけぇぇぇぇぇ!!!」

マニラ=レイモンド:「ああァァアアア!! この一撃で決着をつけてやるよォ!! お前の、その綺麗事含めて、墓地でおねんねしてきなァ!!」
総介の刃は、今度こそマニラを見失わなかった。マニラも、左手にやどった神を総介に向けた。両者が、一歩も譲らない緊張が走る。
総介が駆け出すと、マニラもそれをみて光線を打つ。それは目にも止まらなぬ速さで総介に放たれていった。
しかし、それは総介に当たらない。ヴィストラの銃撃でマニラの左腕を撃ち、総介に放たれたと思われたその光線は、空の彼方へと消えたのだ。
そして、総介は、驚嘆の顔に染まったマニラに向けて、剣を振り下ろす。

マニラ=レイモンド:「できねェなァ……。どうしても、ヴァリエ、お前を殺すなんて、できねェよォ……」
そういいながら、マニラは地面に、意識を落としていった。
沖田 総介:「わりぃな。もうこれ以上大切な人が傷付く所なんて見てらんねぇんだ・・・。死にはしないと思う。ゆっくり休めよ・・・。」
ミリィ:「・・・僕には、やらなくちゃいけないことがある。総介、君はヴァリエを連れて病院へ行って。」
沖田 総介:「何をする・・・?」
ミリィ:「もちろん、人助けだよ。」
沖田 総介:「・・・そいつか。」
ミリィ:「ドミネーターには手を差し伸べる気はないよ。だけどここでのたれ死になんて、僕は見てられないよ。」
ミリィ:「この人はこの人なりの罰を受けるべきだ。」
ミリィ:「僕は彼女の事情がどうだかは知らないよ。だけど、もう一度話す機会をあげてもいいと思う。」
ミリィ:「僕はこの人が悪い人には見えないんだ。」

沖田 総介:「俺が重症を負わせといて何だが、助けてやってくれ。命はこんな簡単になくなっていいもんじゃねぇ・・・。」
ヴァリエがトコトコと物陰から出てきて、二人のやりとりを見つめる。
ミリィ:「うん。じゃあ総介、行こう。」
沖田 総介:「あぁ・・・。」
ローウェン:「お待ちなさい。ミリィさん、あなたは一体マニラをどうなさるおつもりですか」
ミリィ:「もちろん、助けるつもりです。」
ローウェン:「何をバカなことを。悪い冗談のつもりかわかりませんが、もう彼女にはこれ以上関わってはいけません。またいつ目を覚まして君をおそうか、分かったもんじゃありませんよ」
ミリィ:「じゃあその時は、僕が責任をもって殺します。」
ミリィ:「駄目ですか?」

ミリィは真摯にそう答える。
ローウェン:「……前回から私のいうことは何一つ聞いてくれないのですね。マニラはそのままにしておいてくれれば、いずれYDFの連中が運び出しにきてくれるでしょう。野放しにする訳にはいけませんからね」
ローウェン:「だからいまは、そっとしておいてあげてやれませんか」
ローウェン:「YDFは彼女を殺す気はありません。これは私が言うのですから、事実です」
ミリィ:「・・・分かりました。」
ミリィはマニラに近づき、救急セットを取り出す。その中から出てきた包帯を血が流れ出る部分に巻く。
マニラは少しピクっと動いた気がする。しかし、起きることはなかった。

ローウェン:「私は本心から、あなた方を危険に晒したくないと思っています。ですからこうして任務に送り出すのさえ、私にとっては耐え難い。……承知してくださり、感謝いたします」
ミリィ:「・・・行こうか。」
沖田 総介:「あんた、良い人なんだな。俺が見てきた上の人間とは偉い違いだ。奴等は俺達を駒としか思ってねぇからな。」
ミリィ:「僕は色んな人の心を見て感じてきた。だからこうなる人達の結末は分かるんだ、僕はその最悪な結末を見たくない。」
少し思う所があり、ミリィは顔を少し俯かせる。
しかし本当に恐ろしい目にあったヴァリエは、早く親に会いたいらしく、そわそわと周りを見渡している。
ヴァリエ:「あの……すみません、お母さんとお父さんは……」
沖田 総介:「大丈夫だ。心配ない。両親共無事だ。病院で待ってるらしいから、行こうか。」
ヴァリエの頭に手をポンッっと置いて総介はそう言う。
ヴァリエ:「はいっ」
ヴァリエは頭に手が置かれた途端、少し恥ずかしそうに顔を俯かせたが、元気な声で
と、顔をあげて返事をした。

ミリィ:「はは、じゃあ行こうか」
病院に向かっている最中、 「敵軍は、マニラの戦線離脱が確認され全員撤退した。トワイラスの任務は解決した」 とローウェンから通信が入った。
GM:そして、いまは病院の前だ。そこに親はいない。 親だけでなく、避難していってしまった人物含めてほとんど誰もいなかった。

ヴァリエ:「多分、中にいるんですよねっ」
沖田 総介:「・・・。何かおかしくないか。」
ミリィ:「おかしい?」
ヴァリエ:「えっとその……何がでしょう? すみません、私わからなくて・・・」
沖田 総介:「妙に静かすぎる。あれだけの戦闘で怪我人も多数出ただろう、今ここに誰も居ないなんておかしいだろ。」
ミリィ:「避難していたらのんきに外へ出て様子を見ている人はそうそう居ないと思うよ。」
ローウェン:「その点に関しては私が説明を加えておきますと、ちょうどその病院は、この事件が激しい地区のど真ん中に位置してしまっておりましたので、医者、看護師、患者含めて全員が別の病棟へ移動しているのです。いま静かなのは当然のことといえるでしょうな」
ミリィ:「なるほど、説明ありがとうございます。」
沖田 総介:「そうか。悪いな。妙に些細な事に敏感になってるみたいだ・・・。」
ヴァリエ:「……あ、それじゃあ私、探してきますねっ! 本当に今日は助けてくださりありがとうございましたっ」
ミリィ:「一人で大丈夫?」
ヴァリエ:「だ、大丈夫ですよっ。 私も一応、立派な元YDFだったんですからねっ」
ミリィ:「えっ、そうだったの!」
沖田 総介:「ぜんっぜん頼りないけどな!はっはっは!」
ヴァリエ:「そうですよーっ! ……って、頼りないだなんてひどいですよ、沖田さんっ。もぉ…‥」
みんなしていじめるため、ヴァリエはふくれっ面を二人は見る。しかし、そのふくれっ面さえ、彼女がしても小動物がするような可愛らしさがあった。
ミリィ:「ふふ、あははっ!」
ヴァリエ:「そ、それじゃあ探してきますからね! 今回はその、ありがとうございましたっ!」
ヴァリエは急いで後ろを振り返ると、病院の中へ姿を消していった。
G二人は心配そうに病院を見つめたが、総介は彼女を信じることを決意した。そして、晴れ渡った病院を見つめ、今回の任務が終わる達成感を感じていた。


3に戻る 5に進む
 家につくと、そこには異常な光景が見られた。ヴァリエの家を除くと、そこは静まり返っていて、平和で、何も異常のない日常の世界だったのだが、なぜかヴァリエの家だけが炎に包まれていた。あまり火は燃え移っていないため、それほどまで大災害にはなっていないが、このまま放っておくと、すぐにでも火は燃え広がってしまうだろう。
ミリィ:「いけない、急ごう!」
沖田 総介:「あぁ!」
二人が中に入ろうとすると、中から、聞き覚えのある声が聞こえる。
明らかにヴァリエの声であった。

少女の声:「やめて! やめてよっ!!」
ミリィは周りを調べるとキッチンのコンロから火が出ている事が分かった。
ミリィ:「ガスコンロから火が回ってる、総介!!ヴァリエちゃんをお願い!!!」
沖田 総介:「任せとけ!」

 ミリィと別れた沖田は、急いでヴァリエを助けようと二階に駆け上がる。再び助けて、と声をした方向に向かい、今はその声のした部屋の扉の前にいる。
沖田はその扉を拳でぶち破って、中にいるヴァリエを助けようと中に侵入する。

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沖田 総介:「ヴァリエ!!」

マニラ=レイモンド:「ああン?」
マニラは、その左手でヴァリエの頭を鷲掴みにしていて、今にも殺そうとしている状況であった。
ヴァリエを締め付ける手は、更に強くなる。そのたびにヴァリエの顔は歪んだ。

沖田 総介:「・・・誰だ。その手を離せ・・・!!」
マニラ=レイモンド:「嫌なこったよォ。……あんた、グレイプニルの使い物かァ。 ッハハ、そんなグレイプニルの犬が、ゴチャゴチャ言う資格あると思ってンのか、アァ?!」
ヴァリエ:「やだ、痛い痛い、助けて!!」
マニラ=レイモンド:「あんたもうっせェんだよ!! 何も言わずに私についてくりゃいいものをさァ面倒かけさせやがってさァ!!」
沖田 総介:「てめぇ・・・。ただで済むと思うなよ・・・。」
マニラ=レイモンド:「あァ? まだちっちゃい若造が、この私に本気で言ってんのかよそれ。はッ!! 笑わせる脚本だぜェ?」
優しい笑顔でヴァリエに伝える。
沖田 総介:「ヴァリエ。少し目を閉じてろ。ちょーっと刺激が強いかもしれないからな!」
ヴァリエ:「ぅっ、ぐぁ……」
言われた通りにヴァリエは眼を瞑る。
総介はマニラに向かって剣を振り下ろした。
しかし沖田の剣は、マニラの右手を捉えずに、何もない地面を叩いた。
しかし、動かないマニラに向かって剣を振り下ろしたのに、なぜ……。
マニラは腕は塞がっているが、足は塞がっていなかった。総介が剣を振り下ろすその時、足で総介のバランスを崩させ、剣をあらぬ方向へと導いたのだ。

マニラ=レイモンド:「おいおイ、頼むぜェ若造。私に面倒かけさせんなって、言ってんだろォオオ?!?!」

そして、バランスの取れなくなった総介のえりを右手で掴む。
マニラ=レイモンド:「ヴァリエを助けにきたんだろうが、残念だったなァ。お前ら諸共、ここでお葬式をあげてやんよォ!! よかったじゃねェかよ、火はもうついてる。火葬の準備をせずに済むぜェ?」
マニラ=レイモンド:「ああ安心しろよォ。遺骨は私が大事に拾ってやるからなァ!!」

 ミリィ:(このコンロの火を止めるには水がないと・・・。水道管を探そう!!)
ミリィはガスの爆発を防ぐため、キッチンまで燃え移ろうとしている火を止めようと水道管を探すことに決めた。ここらは外を出ても川はないし、水もない。水道から出る水は、燃え移る火を消すには時間がかかって、総介を危険な目に合わせる可能性がある。
一番てっとり早いのは、水道管を破壊して水を溢れさせることだ。それしか方法はない。
ミリィはまず手始めに、蛇口にある水道を撃ってみた。そこからは確かに水は吹き出したが、それだけじゃ足りない。火を消すには大量に吹き出す水が必要だ。
そこで、配水管を探すためにミリィは乱射した。
すると、大量に放った何発かの弾丸が、見事に配水管を探し出してくれた。それも、何箇所も穴をあけたおかげで、予想以上の水が溢れ出した。
壁や床から勢いよく吹き出した水は、あまりにも勢いが余りすぎて、見た目の割には案外脆い家を揺らした。

ミリィ:(・・・水が出てきた!総介、頑張って。)


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 電車に揺らされて数十分、降りて五分たったところにトワイラスはあった。
篠宮 和人:「まるで戦闘だ……。過激過ぎる」
激戦区となっているそこは、銃で対抗するYDFと、様々な光線を使い、爆弾など大胆に行動をするドミネーターの軍団とで、戦争に近い光景になっている。崩れている家や、火事になって、中で助けを求める家族の声も聞こえる。一般市民や、ドミネーターの兵士、YDFの兵士の死体が、そこら中に散らばっていた。今もまた叫び声をあげて散っていくYDF兵士の姿が目の前に映る。
沖田 総介:「悲惨だな・・・。」
ミリィ:「・・・戦う覚悟は、もう出来てるよ。行こう」
そうしてその5人が前に進み出た時、そのYDF軍の中から見知った顔が姿を見せた。
それはガンダルだ。彼もこの戦いに動員されたらしい。

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ガンダル・ジャッキー:「君たちは、この前の……! よかった、英雄が来てくれたならもう心配はないな! ありがとう、また借りができちゃったみたいだな! そういえば、ヴァリエからの伝言は聞いてくれたか?」
ミリィ:「聞いたよ、でもそれはこの戦いが終わった後だ。」
沖田 総介:「そうだな。少しでも早く加勢しないと犠牲者が増えちまう。」
ガンダル・ジャッキー:「ああ、それじゃあ手伝ってもらおう━━━」
するとその時、YDFリーダーと思われる人物の声が大きく叫んだ。 
「リーダーが逃げたぞ!! 北の方角だ!! くそ、こいつらが邪魔で俺たちじゃ追えない。誰か追ってくれ!!」

ガンダル・ジャッキー:「な、なあ、今隊長、北の方角に逃げたっつってたよな……?」
その言葉を聴いて、ガンダルはだんだんと落ち着きのない、冷や汗のかいた顔になってきはじめた。
沖田 総介:「北だな。追うか?」
ガンダル・ジャッキー:「ちょ、ちょっと待て。トワイラスの北って……」
ミリィ:「ガンダル、急ごう。」
ガンダル・ジャッキー:「違う、違うんだ! ……まずい」
ガンダル・ジャッキー:「トワイラスには、あのヴァリエが住んでる。そして、ヴァリエはトワイラスの」
ガンダル・ジャッキー:「北側に住んでいるんだよ……」
ミリィ:「・・・なるほど。」
沖田 総介:「もたもたしてらんねぇぞ。早く行かねぇと巻き込まれるかも知れん・・・。」
ガンダル・ジャッキー:「それだけじゃない! ここの市民はほとんど北側に避難させたんだ。……くそっ!」
ガンダル・ジャッキー:「俺はここで手が離せない。だから君達に頼むしかない……! 頼む、もう一度アイツを救ってやってくれないか……!!」
ガンダルは明らかに狼狽していた。
ミリィ:「冷静を失うのが一番危ない事だよ。北は北の人達なりに考えてる。落ち着こう。」
篠宮 和人:「もしいくなら君達だけでいくといい。ここは俺らが加勢する」
ミリィ:「ありがとうございます。僕達がヴァリエちゃん、そして市民達を助けてみせます。」
ガンダル・ジャッキー:「よろしく頼む……!!」
ミリィ:「急ごう、総介」
沖田 総介:「あぁ・・・!」


 北側に二人が駆けると、まるで待ち伏せしていたかのように二体の兵士が現れた。その兵士はロボットで、銃をこちらに向けて構えている。いつでも発砲する用意はできているようだ。
戦闘兵:「生体反応を感知しました」
戦闘兵2:「確認。これより、戦闘態勢に入ります」
ミリィの能力により、機械のバグが脳内で構成され、様々なバグを引き起こし最終的には爆発した。
沖田 総介:「邪魔なんだよ・・・。鉄屑共が・・・!」
ミリィ:「いち、にい、さん。……死亡確認。次、行こう。」
遠くから聞こえる爆音や悲鳴は、北に向かうにつれ少しずつ遠ざかり小さくなっていった。待ち伏せしていた兵士達を倒し、激戦地とは別の道から急いで北の方角へ向かう。
すると今度は、住宅街の奥から男女の二人がこちらに向かって、逃げるように走ってくるのが分かる。男女はドミネーターでもYDFでもなく、この街に住んでいる一般市民だ。
男は二人に近づく。

男性:「おお……!神が我らに味方をしたッ! これであの子は助かる」
男性:「すみません、助けてください! 娘が、娘が家に取り残されてしまったのです! その家には恐ろしきマニラが向かっていることでしょう……!このままだと間に合わない!」
女性:「私からも、お願いします……! どうかあの子を、助けてあげてください!」
ミリィ:「君たち、悪いけど大切な人より自分の命欲しさに逃げてきたのかい?」
男性:「違うんだ。僕たちはどうしてもやらなくてはならないことがある。それは、あの子を守るためでもあるんだ……!だが、マニラが来てしまった以上どうしようもなくなって、それでYDFの人たちに頼みにこようとしてこちらにやってきたんだ」
ミリィ:「ふふ、やっぱりそうか、変な事を聞いてごめんなさい。総介、行こう。ヴァリエちゃんも大事だけど、市民を助けるのも僕達の義務だから。」
女性は男性と顔を合わせると、途端に驚いた表情になって二人を見返した。
女性:「え……? 今あなた、ヴァリエって、仰りました?」
ミリィ:「・・・はい。僕は言いましたよ」
男性:「おお、神よ……! ヴァリエは僕らの最愛の娘なのです。これはなんと、なんと奇跡なことかッ!」
ミリィ:「えぇっ。それは驚いた。」
ミリィ:「ヴァリエちゃんは僕達の仲間です。絶対助けますから、安心してください。」
ミリィ:「総介、行こう。」

ジャンカルロ=ライヤ:「それじゃあ時間も惜しい。私の家はこの道をまっすぐ進んで、突き当たったT字路を左に向かって、その三軒目の屋根が黒い家だ。本当に、ありがとうございます!!」
沖田 総介:「あぁ!」
ジャンカルロ=ライヤ:「僕らはこの街の大きな病院で待っている! 娘を助け出したら、そこまで来てほしい!」
ミリィ:「わかりました。ありがとうございます!」
ジャンカルロ=ライヤ:「それじゃあいこう、ヴァネッサ」
ヴァネッサ=ライヤ:「ええ、急がないと……」
男女の二人組は、走り去っていく。
その親が来た道に総介もミリィも、一枚の便箋が落ちているのを見つける。
 ミリィ:「待って」
沖田 総介:「・・・?」
ミリィが拾った便箋の中にはクローバーと同封された手紙が入っていて、中にはこう書かれていた。「私の娘を奪った罪は、あの世で詫びろ」
GM:差し出し元は不明で、その字も走り書きのように書かれている。
ミリィ:「"私の娘を奪った罪は、あの世で詫びろ"・・・?」
ミリィ:「これ、恐らくさっきの方の手紙だよ、総介。」

沖田 総介:「殺人・・・?いや、まさかな。」
ミリィ:「・・・早く行こう。」
沖田 総介:「そうだな。」


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