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病院の中は薄暗く、そして静かだった。ホールに差し込む陽の光は幻想的で、非日常の空間を想起させる。先に入ってしまったヴァリエを探すため、あちこちを探し回ろうとしているところに、ちょうどヴァリエがやってきた。ヴァリエからしてみれば、出入り口に戻ってきたということである。
戻ってきた二人に対して、ヴァリエは不思議そうに見つめる。

ヴァリエ:「あ、あら、沖田さんたちっ‥…。一体どうなされたのでしょうっ?」
沖田 総介:「説明している時間はないんだ。今は黙って俺についてきてくれないか・・・。」
ヴァリエ:「え、は、はい了解しましたけどっ」
ローウェン:「……産婦人科に向かってください。産婦人科の、資料室へ。理由は後ほど説明いたしますので、今は私の指示通りに動いてください」
沖田 総介:「産婦人科に向かえ、との事だ。行こう。」
ヴァリエ:「産婦人科……? そこにお母さんとお父さんがいるんですかっ?!」
期待の眼差してヴァリエは沖田を見つめた。
沖田 総介:「すまない。俺は両親の居場所はわからないんだ。とにかく産婦人科の資料室へ。そこに行けば色々とわかるだろ。」
ヴァリエ:「りょ、了解しましたっ。とりあえず私は、お二人について行かさせてもらいますね」
ミリィ:「ひとまず安心したよ」
産婦人科は、その場所から徒歩2分程度の場所にすぐあった。その中の資料室とかかれた部屋の中に入り、ローウェンの指示を待つことになる。
産婦人科の資料室は丁寧に整えられおり、探し物をするには困らない一室であった。その資料は、丁寧な配置になっている大きなキャビネット軍団の中や、壁の端から端まで並んでいる棚の中にファイリングしてあった。
そこで、ローウェンからの指示が入る。

ローウェン:「着きましたね。ではその中から、今から14年前に誕生なさった全ての赤ん坊の記録が載せられたファイルを探してみてください」
ミリィ:「ファイルと言ってもなあ、いっぱいありすぎて探すのに時間がかかりそうだよ。」
資料はなかなか膨大で、探すのには手間取る。ヴァリエの様子を見てみると、資料を探しているというよりも親を探しているという風に見えた。

篠宮は上官にいわれた通り、ヴァリエの家のすぐそばまできていた。戦場みたいにそこは荒れており、家も何軒か壊れている。
そこに、ドミネーターのマニラ=レイモンドと思われる女性が倒れていた。

篠宮 和人:「この人がマニラだね。……あの剣士と銃士、よく倒せたもんだよ」
ルーフェン・ソラ:「見るからに凶悪そうですよ……。確か、まだ気絶の段階で、死んではいないのですよね。それじゃあ、早く運び出しましょうよ……」
ルーフェンの言葉で、篠宮はマニラの手と足を縄でしばり、さすがに担ぐ訳にはいかなかったため、持ってきた、オリジナルの運送用ロボの上にのせた。
篠宮 和人:「これで後はマニラをアレクさんに返せば任務は終了だ。……ふぅ」
ハウンド・サランダー:「そういえば、このドミネーターをやっつけやがった勇敢な兵士二人はどこにいったんだ?
篠宮 和人:「確か、ここらの病院に行ってるんじゃなかったか。なんだか用があるらしく。休日出勤、さらに残業って。うちもブラックの仲間入りかな」
ルーフェン・ソラ:「……元々じゃないですかね」
ハウンド・サランダー:「それもそうだな。そんじゃ、急いで帰って電ロワの続きしようぜ!!」
篠宮 和人:「まったく、君にはそれしかないのかい……」
3人は来た道を意気揚々に引き返していった。誰もが安堵の顔を浮かべて、今回の任務達成を悦びあい、まだその余韻は続いている。
そのため、マニラの目がうっすらと開いたことに、3人は気づかないままであった。


ミリィは膨大な数の資料の中、"歴●●年代記録" と表紙に書かれたファイルを見つけた。その表紙を見る限り、確実に14年前の記録のようであった。
ミリィ:「14年前の記録、こんな書類を見つけたけど・・・」

ローウェン:「ございましたか。それでは、中身を確認してください」
ヴァリエの記録のページまで映る。様々な情報が書かれている。ヴァリエ:「こ、これ……私が生まれた年の記録・・・。なるほど、私が生まれた時の記録をお探しでいらっしゃったのですねっ。でも、どうしてでしょう……?」
ローウェン:「どうですか?」
二人は真っ先に親の欄に書かれている名前を見た。そこには「ヴァネッサ=ライヤ」と書かれていた。
ミリィ:「ヴァネッサ=ライヤ、これは母親の名前ですね。」
ローウェン:「……ほう。それでしたら、そのヴァネッサとついた名前の字体に違和感を感じないか、よく確認してください」
ミリィ:「違和感があります。」
ローウェン:「それでも何もないならば、今回の予感は外れたということなのですが━━━」
ローウェン:「む……。違和感、と申しますと?」
ミリィ:「よく見ると、周りと比べて字体や濃さに違いがあります。」
そのやりとりをみて、ヴァリエが心配そうに話しかける
ヴァリエ:「あ、あの……。私の生まれに、何か問題でもあったのでしょうか?」
ミリィ:「・・・聞きたいなら、覚悟を決めてほしい。」
ヴァリエ:「わ、私に関わることならなんでも聞きますっ! 教えてください、気になっちゃいますよ……」
ミリィ:「・・・やっぱり僕も怖い。でも話さなくちゃならないんだ。」
ミリィはそう自分に言い聞かせる。
ミリィ:「・・・でも、これだけは頭に入れておいて。この先は、聞いたら君は壊れてしまうかもしれない。もう二度と、今のようには戻れないことを。でも安心して、僕はヴァリエちゃんを守るって決めたから。」

ヴァリエ:「……」
ミリィ:「ヴァリエちゃんの親についてなんだけど。」
ミリィ:「君の親はヴァネッサ=ライヤじゃないかもしれない。それを今、確かめるんだ。」

思い当たる節がある、という風にそう言う。
ヴァリエ:「わ、私の親が、違うかもしれないって……。え……? そ、それは、本当のこと……じゃないですよね?」
ヴァリエは信じられない、という顔つきでミリィを見返した。一歩、ミリィから下がった。
ミリィ:「分からない。僕も怖い。でもそれは知らなきゃいけないんだ、君のためにも。だから覚悟して、どんな結末が待っていても自分を失わないようにして。」
ミリィ:「それに僕達がいるから。」

ヴァリエ:「あ、あの……。もしかしたら、その、私の能力が役にたつかもしれないです。私は、変化があったものを、その元の姿にちょっとだけ復元できる能力を持っていましてですね……。えっとですから、その能力を使えば……」
ヴァリエの声は落ちていって、最後にはもう聞こえなくなってしまっていた。
ヴァリエ:「で、でもありえないことです! 私のお母さんやお父さんが偽物だなんて、私は絶対、信じられませんから……」
ミリィ:「・・・、じゃあヴァリエ、君がその紙を見るんだ。君は知らなきゃいけない、真実を。」
沖田 総介:「現実から目を背けちゃいけない。きちんと受け入れるんだ。俺はヴァリエ、お前の傍にずっと居てやる。俺が元気づけてやる。」
沖田 総介:「例えどんなに残酷な現実が待っていようと、きちんと向き合わなくちゃいけない。」

ヴァリエ:「沖田さん……。だ、大丈夫ですよっ、私は大丈夫です。そ、それにまだ決まった訳じゃないですから! 大丈夫です……。それじゃあ、行きます、その紙、私にください」
震える手をミリィに差し出す。

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